2011年11月30日水曜日

題詠2011 まとめ

今年もまとめてみます。

今年はぜんぶ恋愛めいた歌にしようと思って詠んでいました。
(タイトルをつけるなら、「恋愛体質」だな!とか思いつつ。)
その結果、全体的になんとも辛気くさくなりましたが、
思う存分すねたような歌が詠めて楽しかったです。笑


 

初めてはかなしい 君の手が触れたところがそっと傷んで始発

幸せなあなたをここで見限って立ち去ってしまえればいいのに

どうすればきみが笑うかわからずにどんどん声はか細くなって

まさか、って思ってほしいためだけにあなたではない人のところへ

誰なのかもう知っている あのひとが姿勢をのばして会いにいくのが

いつだって困ったふりだけするきみの心に居残りたい傷付けたい

丹念に耕されたわたしのうえであなたはいそぐように熟れてゆく

幸せになるのが下手ね まだ彼に後悔させたがってるなんて

いつもより寒い夏がすぎてゆく 癒されなくても愛しているの

ドアを開けたら駆けてでもいくんでしょ彼女のとこへ 「行ってらっしゃい」

8bitミュージックでこの悲しみを軽くあしらうゲームオーバー

堅実さなんて捨てて目の前で微笑むわたしに浮気をしてよ 

その腕がきれいでもう何も言えない 事故に見せかけてさらってください

プレートに残ったポテトも笑ってるキスをしたのにともだちのまま

とりあえず笑うくらいじゃだませない好きなんてまだ言いたくないのに

絹さやのすじはとぎれまたとぎれご飯おわったらひとりで泣こう

失くしたくなくて途方に暮れたすえ妹にしてと願う七夕

黒髪に戻したきみに見つめられ準備してきた言葉がきえる

社内一スーツが似合うと思ってる 高層フロアまであと10秒

強いんじゃなくてどうでもいいんだね 愛されたのは夏の幻

経血を洗い流すよる ひどいこと私にしたひと元気だろうか

でたらめを言ってでも気を引きたかった あなたはひとり改札通る

ふたりして蜂に刺されたような夏 秘密がふえて始まる2学期

夕焼けがきれいだねも言えなくてそろそろ寂しい ねえ謝って

目が合って口を開いた瞬間に足元くずれ始まるミステリー

出席に○をつけた返信用ハガキを出す手がすこし震えた

水飲み場あの日の放課後に戻ってわたしのこころを返してほしい

説得はしない あの子が可愛いと思ってるなら無駄だろうから

あの服が似合いすぎる子を知っていて買えなかった公式ムック

もう遅いなんて哀しく言うんだね愛されている自覚もないのに

あなたにはわかって欲しかったんだなあ電話を閉じたらなみだが出ました

少しだけ悲しいのは内緒のままでしあわせ祝う町の教会

一度だけあなたが笑いかけてくれてそれが奇跡の基準になった

飛び散った皿の破片を掃いてゆくもう嘘なんてつきたくないな

いまここで触れるのは罪かもしれない飲み会の声がむこうにひびく

言わされたような告白してしまいワンピースのなか今すごく暑い

そのポーズ彼とおんなじ 私しかわからないことしないでほしい

抱かれないことをえらんで帰る夜もう二度とないことだとしても

あんなことあったからって校庭できみを見つける癖は消えない

きみの前ではいつまでも18才 伝えなかった気持ちのせいで

まだ舌に残るあなたをさっぱりと忘れるためのオレンジソーダ

泣いてます心当たりなどなくていいから至急電話をください

あざやかな寿の文字 動揺をだましつつ用意するご祝儀

だめなひとばかりを好きになるのだと気付く誰にも護られぬ午後

幼稚園児並みのわがままをしてでも今は引きとめたい行かないで

駅前のバンドの安い演奏で泣いてしまいそう待てば待つほど

醜態をさらしたままでしたキスを灯りのように大事にしてる

叶わない約束をして別れましょう今夜のお酒はおいしいですね

図書館でまどろみながら考えるきみを動揺させる方法

いつもよりお酒を早く飲むきみは彼女のことできっと泣き出す

いままでの恋を落としてゆくようにペダルを漕いでゆく長い坂

今日もまた言えなかったことごとく温野菜に残ってる芯

会いたいなう会いたくないなうぐるぐると眠る気分になれない深夜

またきみはかまってくれない牛丼を食べてから帰るあしたも頑張る

「きみのこと嫌いになりそうです」虚偽の申告をして逃げて帰った

いちご摘むようにわたしの嫌なとこちぎって持って帰ってください

後出しのじゃんけんがすきライバルがいるからあなたをすきになったの

日本酒と帆立なんてどうですか今日帰らなくてもいいですか

気のせいじゃない胸騒ぎ恋をした顔のあなたに気付いた2限

悪いもの出して素直になろうって友達と行く温泉旅行

はじまった恋は有無を言わさずに今日からわたしを部外者にする

忘れずにいるねずっとわたしより長生きしたらお墓に来てね

大丈夫と笑うひとのために買うコーヒーよまだ冷めないでいて

気付きたくなかったことを溶かすよう甘すぎるチョコをおやつに選ぶ

わたしにはあの子に羽が見えるんだ いっしゅんで彼と仲良くなった

言うつもりなかったのになこの店は豚の角煮がおいしすぎたな

励ましてほしいから泣いてるんだけどどうしてテレビの話してんの

コットンのようなやさしさじゃなくてもあの子の笑顔がいいのだきみは

同じ箸で同じ定食たべるのにこころのおくを分かち合えない

すっかりと気まずくなった仲介の業者がいれば頼みたいほど

お祭りのときにはきっと帰ってねつぶやくように民謡うたう

しなくてもいいことばかりおもたくて油汚れのようなこの恋

つかまれた肩のいたみ身体じゅう不自然なリズムながれはじめる

きみになら傷つけられたっていいのに刃先も見せてくれないんだね

しあわせな恋をしてると言いふらすかわりに朱色のカーディガン買う

憧れはあの子のものになっていく放課後にツリー観に行くふたり

恋すればくるくる狂ってゆく世界あなたもわたしもしあわせになれ

さよならをいつ言われるのかまた今日もいらなくなった卵(らん)を捨てる

雑な嘘つかせてごめん恋人になれるだなんて思ってないよ

べつべつの人と結婚する前にいっしょに酔いたかったのさよなら

深爪をしたせいだきっと今日きみの配慮のなさに敏感なのは

万全で来たはずなのに結局は泣くのも笑うのもきみ次第

好きじゃない人との溝は案外とすっぽり埋まってゆくのにどうして

総合職の彼女とトイレで会うときは上司と男の愚痴で済ませる

ゆっくりとドライフルーツ噛んでゆくように身体を分け合うまひる

ただ喫煙しているきみをながめてたふたりきりは貴重なはずなのに

まぶた閉じそびれたら最後そらせないあなたの手あの子の肩はにかみ

炭酸がからだのなかから湧くような好きですじっとしていられない

泣き出して崩れたあなたへの気持ちが再構成をはじめる夜明け

気がつけば泣きそうそもそもなぜ好きになってしまったのかも知らない

甘えてはいけないひとに泣きついた負債そのものみたいな夜だ

会えなくて残念ですと言えたけど寂しくないきみは流すのだろう

さし迫るおわりから目をそらしても愛されるわけではないものね

裂けるチーズなみのもろさで横たわるあなたが会いにくるまでの時間

あたたかい毛布のなかですこしだけ遠慮して眠るきみの生息地

取り返したいって本気で思ってたきみも喜ぶものと思ってた

毎晩のきみのしあわせを祈ってるあの子と一緒にいてもいなくても

なくなってゆくガムの味きみが誰かのものになるのやっぱりさみしい

あのひとの深みに惑うばかりでも知らないころには戻りたくない

完熟を過ぎてもいまだ渡せない気持ちが手からこぼれおちる

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